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肝炎外来

肝炎の専門医療機関に指定されています。

肝炎の治療はここ数年非常に進歩しています。特にC型肝炎はつぎつぎと新しい薬が開発されており、しかも以前よりはるかに有効で安全に治療ができるようになりました。以前はインターフェロンを行っても3割くらいの人しか治らないとても厄介な病気でした。ところが今はインターフェロン・フリー、すなわち経口の内服薬のみの治療で9割以上の方が治ってしまうという状況になっています。また早期の肝硬変でも治療が可能となっており、血小板が低くてインターフェロン治療が受けられなかった方などにも恩恵がもたらされています。肝炎の患者様は日本肝臓学会の肝炎ガイドラインに則した治療を受けることがとても重要となります。当院では最新の標準的な治療を提供致します。そして肝炎の医療費助成に関してもご相談ください。

 

■ C型肝炎

C型肝炎は遺伝子のタイプ別にジェノタイプ1型〜8型に分類されます。日本人は1型が70%、次いで2型が多く、その他はわずかです。従来は1型、2型と分けてそれぞれにあった治療を行っていましたが、最新の治療ではどちらのタイプにも強力に効果を発揮する薬剤を用いるようになりました。

 

ジェノタイプ1型および2型の治療
グレカプレビル/ピブレンタスビル(マヴィレット配合錠)

ジェノタイプ1〜6型のいずれにも強力に抗ウイルス活性を持ち、薬剤耐性を生じにくく、また腎機能障害のある方にも使いやすい薬です。治療期間も従来治療の12週から8週間に短縮されました。国内第3相試験でのSVR率は98~100%と高い治療効果が示され、重篤な副作用もありません。C型慢性肝炎(1型及び2型)はマヴィレット配合錠(グレカプレビル100mg, ピブレンタスビル40mg)1日1回3錠を8週間(セログループで1型、2型のいずれも該当しない場合は12週間の治療)。代償性肝硬変は12週間の治療です。

 

※SVR(sustained virological response)とは血液中にウイルスが持続的に陰性の状態で、この状態が治療終了後6ヶ月持続していればウイルスは駆除されたと考えられます。

 

ジェノタイプ1型の治療
ソホスブビル/レディパスビル(ハーボニー配合剤)

ゲノタイプ1型のC型慢性肝炎、代償性肝硬変の治療薬です。ソホスブビル400mgとレディパスビル90mgの合剤となっており、これ1錠を12週間内服する治療です。国内臨床試験ではSVR*率100%と効果の高い治療で、副作用は鼻咽頭炎、頭痛、倦怠感などです。重度の腎障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は血液透析中の方には使用できません。

 

オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル(ヴィキラックス配合錠)

NS5A複製複合体阻害薬(オムビタスビル)とNS3-4Aプロテアーゼ阻害薬(パリタプレビル)、作用増強剤(リトナビル)の配合剤です。この治療はウイルスの薬に対する耐性があると効果が弱くなることから、まず薬剤耐性変異(Y93)があるかどうかを調べます。薬剤耐性変異(Y93)がない患者でのSVR率は99%でした。副作用は抹消性浮腫、頭痛、悪心などです。カルシウム拮抗剤(アムロジンやアダラートなどの降圧剤)との併用は推奨されていません。薬剤耐性(Y93)耐性変異がない場合に適応となります。1日1回2錠12週間の治療です。

 

エルバスビル/グラゾプレビル(エレルサ錠/グラジナ錠)

NS5A 阻害薬(エルバスビル)、NS3-4Aプロテアーゼ阻害薬(グラゾプレビル)の併用療法です。第 3 相試験でSVR率は96.5~97.1%です。副作用は肝機能障害、下痢、便秘など。グラジナ錠(50mg)2錠、エレルサ錠(50mg)1錠を1日1回、12週間の治療です。

 

ダクラタスビル/アスナプレビル/べクラブビル(ジメンシー配合錠)

NS5A 複製複合体阻害剤(ダクラタスビル)とNS3/4A プロテアーゼ阻害剤(アスナプレビル)、非核酸型 NS5B ポリメラーゼ阻害剤(ベクラブビル)の配合剤です。国内3相試験におけるSVR率は95~98%でした。副作用は肝機能障害、高ビリルビン血症、好酸球増加症など。1回2錠を1日2回、12週間の治療です。

 

ゲノタイプ2型
ソホスブビル/リバベリン(ソバルディ錠/レベトールカプセルまたはコベガス錠)

NS5B polymerase 阻害剤(核酸型)であるソホスブビルと抗ウイルス薬であるリバベリンの併用療法です。国内第3相試験にてSVR率 98%であり、2型C型肝炎および代償性肝硬変の第一選択となっています。リバベリンとの併用で1錠を1日1回、12週間の治療です。副作用は鼻咽頭炎、貧血、頭痛など。

 

オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル/リバビリン(ヴィキラックス配合錠/レベトールカプセル)

オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビルとリバビリンの併用療法です。国内第3相試験では16週投与により、ゲノタイプ 2a の初回治療例に対して 93.9%の SVR率でした。一方、ゲノタイプ 2b に対しては 85.7%とやや劣るため、適応としてはゲノタイプ2のC型慢性肝炎(代償性肝硬変は適応なし)ですが、ガイドラインではゲノタイプ2a型のみ推奨とされています。レベトールと併用でヴィキラックス1日1回2錠、16週間の治療です。

 

■ B型肝炎

B型肝炎は現在インターフェロンや核酸アナログといった治療が行われています。とくに核酸アナログという抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑え、肝炎の活動性を沈静化します。副作用も少なく安全で大変有効な治療です。ただウイルスを完全に駆除することは難しく、長い期間飲み続ける必要があり、また自己判断で中止するとウイルスが急速に増殖して肝炎が再燃する可能性があります。そのためこの治療を開始したら、定期的な通院治療が不可欠です。

この治療も医療費の助成が受けられます。

 

■ 脂肪肝

健診などで指摘される肝障害の原因の多くはこの脂肪肝です。肝臓の細胞に脂肪が沈着して肝障害起こしている状態です。アルコール性と非アルコール性に分けられます。非アルコール性の原因として肥満、2型糖尿病、高脂血症などがあり、生活習慣が大きく関わっています。食生活の見直しや運動を行い、適正体重にすることで多くの場合は改善します。しかし非アルコール性脂肪肝の約10%にNASH(nonalcoholic steatohepatitis)と呼ばれる病態、すなわち肝炎が持続して線維化が進み、肝硬変や肝臓がんに進展する症例があると言われています。そして厄介なのが、NASH(ナッシュと呼びます)なのか、単なる脂肪肝なのかというのは血液検査などでは区別ができないということです。NASHを診断するには胸壁に針を刺して肝臓の組織の一部を採取して顕微鏡で検査する肝生検を行わなければなりません。脂肪肝を指摘されたら食事や運動などの生活習慣を改善しつつ、肝機能を定期的に検査するようにしましょう。

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